藤原義江記念館(紅葉館)

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 関門海峡を見下ろす小高い丘にある、緑に囲まれた紅葉館と呼ばれるモダンな洋館。英国系商社ホーム・リンガー商会の社長令息のために建てられた住宅です。
 
 1978(昭和53)年から下関出身の世界的オペラ歌手・藤原義江の記念館になりました。藤原義江(1898 – 1976)はこのリンガー商会の支配人N・B・リードと日本人妻「キク」との間にできた子供であり、その縁で記念館として利用されているそうです。藤原氏自身が住んだわけではありません。

 高台に建つ白い装飾性のない外観はいわゆるモダニズム。単純な中に飽きのこない優れた設計で、下関で訪れたなかでも、最も印象に残る建物です。鉄筋コンクリート造り、3階建ての登録有形文化財

藤原義江記念館(紅葉館)
旧リンガー邸 1936(昭和11)年
登録有形文化財
設計・施工 : 不明
下関市阿弥陀寺町3-14
撮影 : 2008.5.2
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 緑の中の狭い小道を登っていくと、煉瓦塀と・・
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 オタマジャクシの飾りがある門柱。
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 ちょっと見るとよくあるアパートか何かのように見えますが・・
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 よく見るとヨーロッパ調の美しい緑色の木製扉に窓枠。
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 玄関でチャイムを押すと「しばらくお待ちください。」そして管理人さんが隣の家から出てこられました。中に案内してもらいます。
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 外観も白ですが、内部も壁・天井ともに白壁。館内に「我等のテナー」として親しまれた藤原義江の歌声が聞こえてきて。
 藤原義江氏は子供のころテレビで見たことがあります。唄声だけでなく、スコットランド人とのハーフなので容姿もよかったです。館内の写真を見てもそれがわかりますね。
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 2階には居間と食堂があります。
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 藤原義江の一生を書いた下関市出身の古川薫の直木賞受賞作「漂泊者のアリア」にちなみ、3階はマリア記念室です。この階段を上ると・・
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 書斎が二部屋。彼が使っていた机や小物、書籍などが並んでいました。
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 関門海峡を眺望できるテラス。
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 前庭の風見鶏。宙に浮いた義江の姿と何かの文字。なんて書いてあるのでしょう。上部は「漂泊のマリア」。下のバーには「THE LAST RECITAL JUN. 1959 HIBIYA」 かな。61歳の時に最後のリサイタルをやったのでしょう。
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 下から丘を見上げたショット。右の建物が管理人さんの家のようです。今ではよくありそうな風景ですが、当時は高台に建つこの白亜の洋館はかなりモダンだったはずです。

 訪れた時は見学者は私たち二人だけ。無料なので、市の管理なのでしょうが、どうかこのままこの美しい建物と貴重な資料を維持していただきたいものです。

 なお、私は何も知らずに出かけてしまいましたが、事前の電話連絡が必要だったようです。突然なのに快く見学させていただいた管理人さんに感謝します。

●開館:10:00~16:00(事前に電話連絡が必要)
●休館:毎週火曜日
●TEL:083-234-4015
by gipsypapa | 2008-09-03 14:42 | 建築
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