船場ビルディング

　大阪の衣料問屋が並ぶ船場に大正末期の建物があります。外見はスクラッチタイルを貼ったセセッション風の当時流行したスタイルで、それほどの強烈な印象はありません。しかし、一旦中に入ると、奥に吹き抜けのパティオ（中庭）があり、中庭に面して小部屋が配置されています。手すりや階段の配色が美しく、南欧にでも迷い込んだような別次元の素晴らしい空間でした。鉄筋コンクリート造り、４階建て、地下１階の登録有形文化財。

船場ビルディング　１９２５（大正１４）年/１９９８（平成１０）年改装
登録有形文化財
設計　：　村上徹一（村上建築事務所）/二見恵美子（改装）　
施工　：　竹中工務店
大阪市中央区淡路町2-5-8　
撮影　：　2007.1.14, 2008.2.19 & 2014.4.1
　１階部分は白、上部は褐色のスクラッチタイル貼り。最上部に装飾的な三角形の出っ張りがあります。中央のエントランスから中へ。　１階部分の玄関周り。床面がスロープになっています。トラックや荷馬車などを引き込むためだそうです。また、そのときは気づきませんでしたが、床に貼ってあるレンガは木レンガだそうです。　スロープを上ると、奥にパティオが見えてきます。　幅は広くありませんが、吹き抜けのために日差しによる陰影が美しい空間。

　１階から２階への階段と地下への階段。よく見ると、この地下への階段の手前の床レンガは、確かに木製ですね。年輪が見えます。
　このように小さな部屋が多数あり、服飾関係のデザイナーズ・オフィスなどに使われているようです。木製の窓枠が暖かい印象を与えます。
　２階から美しいパティオと両側の廊下を。ここの眺めが一番かもしれません。　この建物は、中を見ないとそのよさはわかりません。最初に行ったのは日曜日で、玄関が閉まっていたので、今回出直しました。土曜日に開いているかどうかは定かではありません。ウィークデイに行くのをお勧めします。

　また訪ねる機会がありました。前回より上層階も上がりましたので、写真を追加します。
撮影　：　2014.4.1
　床は木のレンガ。
　手前の建物が撤去されたので、側面が見えます。