東山 建仁寺

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 四条を過ぎて大和大路通りを南下していると、建仁寺(けんにんじ)の前に出ました。基本的に洋館と旅館などがターゲットでしたから、ここは想定外でしたが、門の傍に「双龍図」の写真がある立て看板が見えました。そういえばこの龍の絵はkafe3232さんの「バルチザン2・・・夢と希望」で見た記憶があり、急に予定変更して見に行くことにしました。

 建仁寺の歴史は古く、1202(建仁2)年に将軍源頼家が寺域を寄進し、栄西禅師を開山として宋国百丈山を模して建立されたそうです。元号を寺号とし、山号を東山(とうざん)といいます。

 戦乱と幕府の衰退により荒廃しましたが、天正年間(1573-1592年)に安国寺恵瓊(あんこくじえけい)が方丈や仏殿を移築しその復興が始まり、徳川幕府の保護のもと堂塔が再建修築されました。

 京都最古の禅寺で、俵屋宗達の「風神雷神図」や海北友松の襖絵などの文化財を豊富に伝えています。

東山 建仁寺
室町時代 / 1599(慶長4)年移築
重要文化財(方丈)
設計・施工 : 不明
作庭 : 七代目小川治兵衛加藤熊吉(大雄苑)
京都市東山区小松町584
撮影 : 2014.6.13
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 門の左に立つている看板が目に入りました。
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 本坊
 本坊から入ります。HPに築年等のデータがないので、新しいものと思われます。拝観料は500円でした。
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 俵屋宗達の「風神雷神図屏風」は国宝です。二曲一双の屏風全面に金箔を押し、右に風神、左に雷神を描いています。

 こんな貴重で素晴らしいものを間近で見られる理由は、展示しているのが高精細デジタル複製だから。このあと襖絵がたくさん出てきますが、これらを含めた全50面の襖絵は、すべて栄西禅師800年大遠諱(だいえんき)記念事業として京都文化協会、キャノンの協力で複製したものです。

 個人的には大いに拍手したいところです。このような国宝や重文は非公開の寺社が多く、たまに公開されても撮影禁止だったりして、いつも不満を感じるので、このような試みには大賛成。実際、見た目も撮影しても、知らなければ複製とは思いません。十分満足です。
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方丈
重要文化財
室町時代 / 1599(慶長4)年移築
慶長四年(1599)恵瓊(えけい)が安芸の安国寺から移築したもので、優美な銅板葺の屋根が印象的な禅宗方丈建築。本尊は東福門院寄進の十一面観音菩薩像。
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 前庭に枯山水様式の石庭「大雄苑(だいおうえん)」があります。 七代目小川治兵衛の作庭で、植治の作品として枯山水は非常に珍しい。ネット情報をもとに植治としましたが、「京都の名庭園」という本では加藤熊吉(植熊)の作庭となっていますので、修正します。1014.12.20
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 石庭の向こうは興雲庵の鎮守稲荷、陀枳尼(だきに)尊天堂。
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 海北友松の「雲竜図」。桃山時代に描かれた襖絵。重要文化財です。海北 友松(かいほう ゆうしょう、1533-1615)は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての絵師で、海北派の始祖。
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東山 建仁寺_c0112559_8511696.jpg こちらも海北友松の「竹林七賢図」。重要文化財。いずれも高精細デジタル複製です。キャノンのHPに「綴」という名前で紹介されています。建仁寺のみならず、他の寺社の襖絵や海外に流出した日本画まで、多くの作品が紹介されていて、大変興味深いので是非どうぞ。

 方法は、キャノンが開発した特殊な装置を使って、数多くのコマに分割して撮影したのちにパソコンで画像処理するそうです。また金箔など手作業も加えられています。特殊撮影の器具は右→を。
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 これらの襖絵は何だったか、見忘れました。
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 ○△□乃庭。禅宗の四大思想(地水火風)を、地(□)、水(○)、火(△)で象徴しているそうです。
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 本坊の中庭「潮音庭(ちょうおんてい)」は中央に三尊石、その東には座禅石。廻りに紅葉を配した四方正面の禅庭です。
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法堂
明和2年(1765年)。
法堂(はっとう)は仏殿兼用の「拈華堂(ねんげどう)」。五間四間・一重・裳階付の堂々とした禅宗様仏殿建築。正面須弥壇には本尊釈迦如来座像と脇侍迦葉尊者・阿難尊者が祀られています。
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 大天井に描かれた双龍図。
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 よく見るとつぶらな瞳で可愛い。龍の天井画といえば松崎の「長八記念館(浄感寺)」の入江長八の龍、まだアップしていないのですが宮津の「経王寺」、毛色の変わったものでは大阪の「鯛よし百番」を見たことがありますが、いずれも瞳はぱっちりと大きいです。
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 パンフレットでは、この建仁寺法堂の双龍図は小泉淳作画伯」筆により、2002(平成14)年に創建800年を記念して描かれたもので、意外にも新しいものでした。
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三門
江戸時代末期
1923(大正12)年、望闕楼(ぼうけつろう)とも呼ばれ、静岡県浜名郡の安寧寺から移建したもの。御所を望む楼閣ということで、望闕楼と名付けられたそうです。
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勅使門
重要文化財。
寺の南側正面、八坂通りに面した四脚門。平教盛の館門(平重盛の館門とも)を応仁の乱後に移築したものと伝えられます。様式的には鎌倉時代末頃の建築だそうです。

 建仁寺には↑のMap2にあるように、多くの塔頭寺院(たっちゅうじいん)がありますが、見きれませんでした。「日本の遺産」というHPにいくつか紹介されています。他にも見どころがありますね。
by gipsypapa | 2014-12-16 09:22 | 建築
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