倉敷中央病院 三和保育園三和分園

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 美観地区から北東に少し歩いたところに、薬師寺主計が建築顧問を担当した大正期の美しい病院建築があります。

 財団法人倉敷中央病院は、倉紡中央病院が前身で、1923(大正12)年倉敷紡績株式会社社長、大原孫三郎によって創設されました。病院開設当初より倉敷紡績従業員だけでなく、広く地域住民の診療も行ったそうです。

 現存する倉紡中央病院時代の建物は全部で3棟。南側の道路沿いに西から旧外来棟、旧事務所棟、旧医学研究所棟が並んでいます。まずは西側の今は保育園として一部が使われている旧外来棟から。

 大きな車寄せのある玄関ポーチを中心に、鋭角の切妻面を中央、左右に見せるお洒落な建物。鮮やかな濃いオレンジ色の屋根と薄いグレーのドイツ壁がよく調和しています。壁面には縦長窓が整然とならび、中央と両側の妻面には半円アーチ窓。左右の切妻面の縦長窓は少し張り出していて、外観に変化を持たせた、ヨーロッパの建物を思わせる、非常に凝った意匠です。病院建築を意識して明るく清潔なデザインを目指したと思います。

 設計はおなじみの薬師寺主計を建築顧問として、隅田京太郎と武内潔真(たけうちきよみ)が担当。隅田京太郎氏の情報は見つかりませんでしたが、構造設計の担当かと。武内潔真氏は美術評論家で「明治21年5月16日生まれ。大正2年倉敷紡績に入社、昭和5年大原美術館館長となる。」というのを見つけました。外観のデザインを主に担当したと思われます。木造平屋建て。

倉敷中央病院 三和保育園三和分園
旧倉紡中央病院外来棟
1923(大正12)年
設計 : 隅田京太郎+武内潔真+薬師寺主計(建築顧問)
施工 : 藤木工務店
倉敷市美和1-1-1
撮影 : 2011.12.4
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 カーブを描いた張り出し窓。
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 車寄せのある玄関ポーチ。
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 変化を持たせた凝ったデザインです。
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 東側の端はとなりのリハビリ病棟と回廊でつながっています。
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 これらの3棟の建物はGoogle のストリートビューで見ることができます。
by gipsypapa | 2013-01-20 11:57 | 建築
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