江戸末期、安政6年(1859)に来日した英国人貿易商トーマス・ブレイク・グラバーが建てた、接客を目的としたベランダ・コロニアル様式の住宅。次回紹介する旧十六番館と並ぶ日本最古級の木造洋風住宅で、長崎港や長崎の市街地を見下ろす高台にあります。プッチーニの「蝶々夫人」の舞台になり、長崎観光の名所となっています。 江戸末期に来日した西欧人はインドの英国植民地や香港、上海のいずれかを経由して来たことから、当時の彼らが住んだ家は熱帯地方のベランダ・コロニアル・スタイルが一般的に採られており、この建物もそれを踏襲しています。寒いヨーロッバから来た人々がアジアの高温と強い陽射しを避けるため、住宅に幅の広い庇を張り出してベランダを巡らせ、家の中に涼しい風を入れるように考えられた様式ですが、日本は冬が寒いため、ある時期からベランダをガラス窓で囲うようになったそうです。 クローバー型といわれる珍しい平面形状。ほぼ円形に近い多角形の壁面で囲われた3つの部屋が三方に突き出し、その周りに幅の広いベランダが巡らされ、玄関を設けずにベランダから出入するバンガロー・タイプです。外壁はベランダが廻らされた部分が漆喰壁。丘に面した外壁は一部下見板貼り。屋根は桟瓦葺きで、先端部に鬼瓦を有する和風です。部屋割は多様な形状でバンガロー形式のため、廊下がありません。窓は内向きの両開きフランス窓で、上部に櫛形アーチのファンライトがあります。有名だけあって見どころが多い建物です。 グラバーの書いた簡単な間取り図を元に、小山秀之進(のちの小山秀)が請負って建てたものといわれています。国の重要文化財指定の木造平屋建て。 旧グラバー住宅(旧グラバー邸) 1863(文久3)年 重要文化財 設計 : 不明 施工 : 小山秀之進(小山商会) 長崎市南山手町8-1(グラバー園内) 撮影 : 2009.5.18
by gipsypapa
| 2010-02-15 11:27
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