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下関南部町郵便局

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 旧秋田商会の左に隣接する明治の建物、下関南部(なべ)町郵便局(旧赤間関郵便電信局)。日本最古の郵便局建築で、今も現役です。煉瓦造りに、外壁をモルタル仕上げしています。コの字型の中庭のある建物で、1階は半円アーチで2階はギリシャ風の窓がある古典主義をシンプルにした外観。またファサードも入口上部のペディメントや窓枠には彫刻的な装飾がなく簡素。明治の後期に生まれた、典型的な西洋古典主義から脱却する動きをよく表した設計といえます。登録有形文化財。屋根は木造瓦葺き、外壁はモルタル横目地仕上げのレンガ造り2階建。

 設計の三橋四郎は当時逓信省の技師で、その後、東京市営繕課を経て独立し、三橋建築事務所を東京に開設。領事館をはじめとする多くの官庁建築の設計を行いました。
関根要太郎研究室@はこだてに詳しい解説があります。

下関市南部郵便局
旧赤間関郵便電信局 1900(明治33)年
登録有形文化財
設計 : 三橋四郎
施工 : 岩崎組
下関市南部町22-8
撮影 : 2008.5.1 & 5.2
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 明治の公共施設の建物にしては装飾の少ないファサードとエントランス。
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 旧秋田商会の窓から見える外壁。
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 現役の特定郵便局ですので多少雑然としていますが、1階のアーチ窓が美しい。中で写真の許可をとるのに職員の人に声を掛けると、左奥のカフェから中庭に行けると教えていただきました。
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 このカフェの入口をくぐって・・
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 カフェの中にあるレトロなオルゴールを見ながら、
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 この出入り口を出ると、
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 中庭があります。いわゆるパティオで、カフェのオープンスペース。コンサートや結婚式等のイベントスペースとしても活用されています。
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 中庭に面した壁はあまり手を加えられていないようで、崩れかけたような漆喰塗の煉瓦。いいですねぇ。歳月を感じます。
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 コの字型の奥の一面に新しく壁が追加されてロの字になっています。
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 面白いモニュメントがありました。
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 内側から見たエントランス。上部のファンライトが美しい。
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 旧秋田商会と旧赤間関郵便電信局の並ぶ姿は唐戸を代表する風景です。
by gipsypapa | 2008-08-29 13:48 | 建築 | Trackback(1) | Comments(8)

下関市観光情報センター(旧秋田商会ビル)

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 関門レトロシリーズを始めます。今年の5月の連休に下関と門司をそれぞれ1泊して、有名な建物を見てきました。下関は10年以上前に訪れていますが、当時はデジカメがなく写真が残っていないので、もう一度行きたかったのです。

 山口県下関市の唐戸地区一帯は古くから港町、大陸への玄関口として発展していました。明治時代から官公庁施設や銀行、商館などが数多く建設され、今も当時のまま残っている建物がかなりあるので、対岸の門司港とタイアップする形でレトロ建築を観光のスポットにしています。

 秋田商会は日清戦争後に創設された海運会社。わが国最古の鉄筋コンクリート事務所建築だそうです。事務所兼住宅として施主の秋田寅之助が設計に関与した建物。個人の趣向が反映され、コーナー部にドーム付の階段室を持った化粧タイル貼りの洋風建築の中に2階と3階の居住区は純和室になっていたり、屋上庭園がある一風変わった建物。

JRの下関駅前からサンデン交通のバスに乗って唐戸で下車するとほぼ目の前にあります。現在は下関市の観光情報センターとして使用され、建物内部も見学できます。(無料)この周辺を探索するときにはまずこの建物に立ち寄るのがいいようです。鉄筋コンクリート造り3階建て、地下1階。

下関市観光情報センター
旧秋田商会ビル 1915(大正4)年
設計 : 秋田寅之助+新富直吉
施工 : 関門商事
下関市南部町23-11
撮影 : 2008.5.1 & 5.2
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 コーナー部の塔屋のような階段室が目を引きます。2階の窓には小ベランダ。
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 屋上庭園。鯱鉾を載せた神社のような建物(なんと茶室らしいです)と樹木が見えます。当時としては非常に珍しい。
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 コーナーの正面エントランス。
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 側面の通用門が下関市観光情報センターの入口。
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 1階は秋田商会のオフィスだったところで、木製のベンチとカウンターが周囲を囲んだ形。各種の下関を紹介するパネルやパンフレットが並んでいました。
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 装飾のある漆喰壁にはめ込まれた、レトロな時計。
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 木製の階段を登って。
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 2階は洋風窓に和風の廊下を配し、部屋は障子のある純和室です。
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 廊下の角に塔屋内の螺旋階段が。老朽化しているので登れないそうです。残念。
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 2階のトイレはあまり手を加えられていないようです。
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 建具類も古い。
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 夜景。向かって左に見える建物は次に紹介する南部町郵便局です。
by gipsypapa | 2008-08-28 11:04 | 建築 | Trackback | Comments(4)

喫茶新北浜

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 旧岸本瓦町邸から生駒ビルヂングへ移動中に見つけた北浜界隈の喫茶店。建物としての情報は全くありませんが、かなり古そうです。カレーが評判とのことですが、この日は閉まっていました。鉄筋コンクリート造り2階建て。

 角のファサードにアーチ型を使ったり、側面の1,2階をレンガ貼りしてアクセントをつけています。最初から喫茶店として建てられたのかもしれません。


喫茶新北浜 昭和期?
設計・施工 : 不明
大阪市中央区平野町1-7
撮影 : 2006.6.21
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 しばらく関西を離れて、次は関門レトロへ行きます。
by gipsypapa | 2008-08-25 13:23 | 建築 | Trackback | Comments(4)

生駒ビルヂング(生駒時計店)の内部

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 一度このブログで紹介した生駒ビルヂング。「華麗なファサード。スクラッチタイルの外壁に、テラコッタの窓台。中も一度見たいビルです。」という念願が叶い中を見てきました。

 旧岸本瓦町邸を見に行った日はあまりに暑く、前回の日曜日には閉まっていた生駒ビル1階のムウムウ&イルバール大阪北浜店というバール・カフェが土曜日には開いていて、一休みしてビールを飲むのにぴったり。

生駒ビルヂング(生駒時計店) 1930(昭和5)年
登録有形文化財
設計 : 宗 兵蔵 / 原案:大倉三郎 実施設計:脇永一雄 (宗建築事務所)
施工 : 大林組
大阪市中央区平野町 2-2-12
撮影 : 2008.6.21
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 相変わらずアイスポットになっている鷲の石像とムウムウ&イルバールの看板。
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 ファサード中央の縦に取り付けられた装飾板。その最上部に見えるのは生駒時計店の商標「駒型に生」の金属マーク。その下の装飾は意味不明とか。
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 スクラッチタイルの壁に「生駒時計店」のプレート。
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 カフェの木製看板でしょうか。ここから中へ。
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 1階のホールにある鐘は時計塔の屋上に取り付けられていたもの。
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 平日開館している時間であれば1階フロア部のみ見学可能だそうです。
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 2階と地階への階段はイタリー産の大理石を使用しているそうです。
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 時計屋なので大型の古い時計があります。
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 当時のままのアールデコ調の照明器具が残っています。素晴らしい。
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 さすがに機械は入れ替えられていますが外観は当時のままのエレベーター。上にある大理石に嵌った回転式インジケーターがいいですね。
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 2階への階段にある装飾用ステンドガラスと小窓のステンドガラス。「G」「I]の文字があり、何かなと思っていましたが、「G.I」は「ゴンキチ・イコマ」のイニシャルだそうです。
by gipsypapa | 2008-08-22 15:28 | 建築 | Trackback(1) | Comments(10)

ワセダヤビル(珈琲館)

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 明治屋ビルを北上し、堺筋と本町通の交差点にある昭和初期の建物。元々はシャツのメーカーだった早稲田屋(現在はトミヤアパレルに吸収合併)のビルでしたが、今は全国に喫茶・コーヒー小売店のフランチャイズ制を展開する「珈琲館」の西日本営業本部が入っているテナントビル。角地の地形に合わせた形をしています。煉瓦のようなタイル貼りの鉄筋コンクリート造り5階建て。

ワセダヤビル(珈琲館)
旧早稲田屋本社 1935(昭和10)年
設計・施工 : 不明
大阪市中央区本町2-1-2
撮影 : 2008.6.21
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 東面の最上階(階段室か?)にステンドグラスのようなものが。
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by gipsypapa | 2008-08-21 14:08 | 建築 | Trackback | Comments(2)

大阪の明治屋ビル

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 大阪の堺筋に面して建つ大正時代のビル。コーナーにアールをとった現代的な建物です。食料品・和洋酒類の小売・輸出入業を営む明治屋(Meidi-Ya)のビルでした。「My」のロゴでおなじみ、子供のころはハイカラなブランドと思っていました。古くから東京を中心として全国に自前のビルを持っていましたが、3年前にリストラを行い、店舗を縮小。この本町ストアーも不採算により撤退して、1階にはコンビニが入っています。栄枯盛衰を感じさせますね。設計は当時の大御所、曾穪中條建築事務所。鉄筋コンクリート造り7階建、地下1階。

 なお、門司市にも小さいながら魅力的な店舗がありましたが、今年5月に訪ねた時には建物は解体撤去されていました。名古屋の明治屋栄ストアーは健在です。

明治屋ビル 1924(大正13)年
設計 : 曾穪中條建築事務所
施工 : 竹中工務店
大阪市中央区南本町2-2-2
撮影 : 2008.6.21
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 「明治屋」の看板は残っていますが、貸しビルになっているようです。
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 東側の通用門には昔の面影があります。
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 コーナー部のファサードには今はローソン。中を覗いてみましたが、普通のコンビニでした。
by gipsypapa | 2008-08-20 13:49 | 建築 | Trackback(1) | Comments(14)

大阪の旧岸本瓦町邸

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 今日からしばらく大阪をやります。

 この旧岸本瓦町邸は北浜から堺筋を見た時に見逃していました。本やネットで写真を見て好みの住宅建築のようだったので、もう一度この周辺の探訪も兼ねて出かけました。写真で見た外観は石貼りの外壁が変色して、レトロな感じだったのですが、実際は外壁が貼り替えられ、木製の扉がシャッターに変わったりしたようで、新しくなってしまいました。期待していましたが、イメージが全く違います。改修前の姿が断然いいですね。

 この建物は、当時輸入業を行っていた岸本吉衛門の洋風住宅でしたが、今は岸本家ゆかりの会社の事務所として使われています。登録有形文化財の鉄筋コンクリート造り、2階建。
 なお、設計の笹川慎一は数多くの建築家を輩出した住友家の「住友営繕」の人。

旧岸本吉衛門住宅 1931(昭和6)年
登録有形文化財
設計 : 笹川慎一(住友工作部)
施工 : 藤木工務店
撮影 : 2008.6.21
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 改修前は洋館のイメージでしたが、今は普通の事務所ビルのようです。古い建物はだんだん使いにくくなり、用途が変わることもあるでしょうから、改修しながら保存する必要があるのは当然ですが、もう少し古いもののよさを残す設計をして欲しかったと思うのは私だけでしょうか。
by gipsypapa | 2008-08-19 14:32 | 建築 | Trackback | Comments(0)

アサヒビール大山崎山荘美術館の流水門と庭

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 加賀正太郎は大山崎山荘を建てるにあたり、庭にもこだわりました。現在の正門になっているのは「流水門」。かつては睡蓮の池から下の池へ流れる水路が前を横切っていたためにこの名前が付けられたとか。洋風の門塀と和風の庭園がうまく調和しています。

大山崎山荘の流水門と庭 昭和初期
設計 : 加賀正太郎
施工 : 不詳
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
撮影 : 2008.3.16
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 スパニッシュ風と和風が融合した流水門。
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 流水門から斜面沿いに下りると下の池。
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 1995(平成7)年に建てられた安藤忠雄(安藤忠雄建築研究所)設計の大山崎山荘美術館新館。レトロな洋館と庭園に大胆なコンクリート打放しを採用。新館と本館とを通路で結び、円柱形のギャラリー(見えにくいですが右側の建物)を半地下として、ギャラリーとまわりの景観との調和を考慮しています。
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 斜面にそって水はさらに流れて。
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 庭にはモニュメントも。
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 さらに下にある木造の建物。これはトイレでした。新しいようです。
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 本館前の庭から見えるのは宝積寺(宝寺)。

 しばらく京都が続いたので、一旦中断して他へ行ってみます。
by gipsypapa | 2008-08-18 11:04 | 建築 | Trackback | Comments(4)

アサヒビール大山崎山荘美術館橡の木(とちのき)茶屋

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 もう一つの登録有形文化財「橡の木茶屋」。軽井沢風の石積みの山小屋と日本の数寄屋造を融合させた和洋折衷の茶室。庭園に向かう斜面を利用して、半地下の部屋を設けたユニークな茶室です。ちなみに大山崎山荘には彩月庵という登録有形文化財の純和風の茶室があります。

アサヒビール大山崎山荘美術館橡の木(とちのき)茶屋 
橡の木茶屋 昭和初期
登録有形文化財
設計 : 加賀正太郎
施工 : 不詳
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
撮影 : 2008.3.16
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池を見下ろしながら茶の湯をやったのです。贅沢ですねえ。
by gipsypapa | 2008-08-12 16:03 | 建築 | Trackback | Comments(2)

アサヒビール大山崎山荘美術館栖霞楼(せいかろう)

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 北側の庭の向こうに白い塔屋があります。外観がきれいでモダンな感じがして、あまり古いものだと思いませんでしたが、実は大山崎山荘で最初に建てられた物見塔。当初は「白雲楼」と呼ばれていましたが、 昭和になって2期工事が終わると「栖霞楼(せいかろう)」に名前を変えました。

 設計者であり当主でもある実業家の加賀正太郎は、ここの最上階から工事を見守り、指示を出したそうです。これも登録有形文化財の木造3階建て。

栖霞楼(せいかろう)
旧白雲楼 1915(大正4)
登録有形文化財
設計 : 加賀正太郎
施工 : 不詳
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
撮影 : 2008.3.16
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 北側の庭には立ち入りできませんので近接写真が撮れませんでしたが、山荘の北側にある宝積寺(宝寺)の境内から目の前にみえるそうですから、気になる方はこちらからどうぞ。
by gipsypapa | 2008-08-11 15:47 | 建築 | Trackback | Comments(2)