下関の旧ロダン美容室

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 今回の下関で期待していた建物の一つ。唐戸西之端町大通は、かつてのメインストリートだったところで、西側に商業会議所と旧下関郵便局電話課分室が立ち並んでいましたが、今は商工会議所は解体撤去されて、空地になっていました。このこじんまりした建物は、ネットで調べると、元はリード商会、ウール商会や貝島クラブだったとか色々な情報がありますが、よくわかりませんので、最も多かった宮崎商館を採用します。

 宮崎商館は石炭輸出業の商社の事務所でした。建物は明治後期の煉瓦造りで、赤煉瓦と白い石の組合せが旧英国領事館に似ています。領事館の完成(1906年)翌年の建設ですから、意匠的に影響を受けたようです。出かける前に調べた時は今も「ロダン美容室」として使われているとありましたが、実際には空き家になっていました。旧を頭につけなければなりません。

 時代を感じる少し色あせた煉瓦の色。1階中央のアーチ型エントランス、2階には旧英国領事館に似た5つのアーチが連なるバルコニーが特徴の煉瓦造り2階建て。

 追記 : コメントを頂いていたのに忘れていました。現在、この建物は吉田メディカルクリニックとして使われています。院長さんの奥様からコメントを頂きました。(2014.3.9)

旧ロダン美容室
旧宮崎商館 1907(明治40)年
設計・施工 : 不明
下関市田中町4-10
撮影 : 2008.5.1
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色褪せていい感じになったレンガと木の出窓の枠。
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 今はなき商工会議所の跡地から見た西側の側面。
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個人的に一番気に入った、正面右側の隣のビルとの間のレトロな通路。鉄製のアーケードや門扉が錆びています。右隣のビルは新しいビルになっていますが、壁だけは残したようで、この不思議な空間が今もあります。
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エントランスと天井のレトロな照明器具。美容室は別に店を閉めたわけではないようで、移転案内の張り紙がありました。唐戸の交差点近くへ移ったとか。ここの立地の問題か、古い建物が使いにくかったのか。
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 窓越しに中をのぞくと・・・もぬけの殻。
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実は下関には、この後紹介するように、現在使用されてない、廃墟化の恐れのある建物があります。山口銀行旧本店はなんとか、維持されているのですが、この価値のある煉瓦建築のこの後の利用計画はあるのでしょうか。何とか廃墟化しないよう祈りたいものです。
by gipsypapa | 2008-09-07 12:18 | 建築
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