並河靖之邸七宝記念館

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 並河靖之邸七宝記念館に行く機会がありました。この記念館は、明治初期から昭和初期にかけて世界的に活躍した、日本を代表する七宝家、並河靖之の自宅兼工房です。建物は明治中期に建てられた京町屋で、町屋特有の虫籠窓の表屋の裏側に、御殿造りの主屋が続いています。

 記念館のパンフレットによるとミセとオモヤの二つの棟を玄関でつないだ京町屋の「オモテヤ造り」だとか。主屋の鴨居は外国人客に配慮して六尺(182cm)と高くし、縁側には輸入品のガラス戸を立てて明るく開放的な作りです。

 庭園は七代目小川治兵衛(植治)の作。植治が琵琶湖疏水を民家の庭に引いた初めての例だそうです。景石や灯籠、手水鉢などの石の使い方、七宝の研磨用に導入した水を庭園の池に引くなど、施主である並河靖之の意向を十分にくみ取った作庭になっています。植治がこの庭を手がけたのは家が隣同士だからです。実際、今も隣家には「小川」の表札がありました。

 主屋は国の登録有形文化財の木造2階建て。ちなみに工房、窯場(いずれも1902頃/1911改造)も国の登録有形文化財。

並河靖之邸七宝記念館
旧並河靖之邸主屋
1894(明治27)年
登録有形文化財
設計 : 不明
施工 : 西村米吉(大工)
作庭 : 七代目小川治兵衞(植治)
京都市東山区堀池町384、385、388
撮影 : 2014.6.13
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 通りに面した京町屋の平屋建て部分。
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 直進すると京町屋特有の吹き抜けの炊事場です。
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 玄関ポーチの柱下にトンボがいました。
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 炊事場の手前に主屋の玄関間があります。
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 町屋の裏には御殿造りの格調高い2階建ての主屋があります。明治中期の和風建築でこれだけガラス窓を全面に使うのは珍しいでしょう。
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窯場
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 入母屋造りの瀟洒な外観。内装は洋室に改装されていますが,板戸建の横長窓,漆喰塗込の天井など,窯場当時の仕様が残っています。国の登録有形文化財の木造平屋建て。

旧並河靖之邸窯場
1902(明治35)年ころ / 1911(明治44)年改造
登録有形文化財
設計:施工 ; 不明
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工房
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 主屋の東にある入母屋造り。もとは工房として建てられたが,その後住居として改装されたとか。4畳半の座敷と洋風の部屋の2間からなり,南東に窯場が接続しています。こちらも、ガラス戸を立てて明るく開放的な作りです。国の登録有形文化財の木造平屋建て。

旧並河靖之邸工房
1902(明治35)年ころ / 1911(明治44)年改造
登録有形文化財
設計:施工 ; 不明
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 七代目小川治兵衞(植治)作庭の庭。個人の住宅なので、そんなに広くはありません。
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 犬走りには石や瓦が埋め込まれています。古い寺院などの出土遺物を意匠として使うのは、植治の特徴の一つだそうです。
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 六勝寺の跡地で、疎水工事のときに出土した瓦が使われています。
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 確かにお隣は「小川」さんです。植治はこの家に住んでいたわけです。
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 この蔵は小川家のものです。
by gipsypapa | 2014-12-09 09:54 | 建築 | Trackback(1) | Comments(2)
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Tracked from CRAFTS DESIGN at 2016-03-12 13:43
タイトル : 七宝焼 並河靖之 花鳥文花瓶
共有 七宝焼 並河靖之 花鳥文花瓶 明治〜大正時代にかけての日本の工芸作品の傑作です。 主に金属工芸で用いられる、伝統工芸技法の「七宝焼」による花瓶作品。 明治時代の日本を代表する七宝家であり、七宝焼の世界では非常に高名な、並河靖之(なみかわ やすゆき、1845〜1927)による作品です。 高貴で威厳に溢れる芸術品。 七宝焼とは、金、銀、銅、鉄、青銅などの金属製の下地の上に、ガラス質や鉱物質の釉薬を被せ、摂氏800度前後の高温で焼成し、融けた釉薬によってガラスやエナメルの美しい彩色を施す技法です。&...... more
Commented by j-garden-hirasato at 2014-12-10 06:55
以前京都に行ったとき、
ここにはぜひ寄りたい、
と思い意気込んでいましたが、
閉館日で、
立ち寄ることができませんでした。
いつかは、
と狙っています。
Commented by gipsypapa at 2014-12-10 09:00
j-garden-hirasato さん、
さすがにご存知でしたか。
それにしても運が悪かったですね。
機会があれば行ってみる価値があります。
とはいえ、京都は他にも見どころが多いですよね。
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