伊豆の長八美術館

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 浄感寺の南、国道136号線を渡ると、こちらはひときわ目立つ白く現代的な建物。ここは入江長八の集大成ともいうべき、鏝(こて)絵の作品、約50点を展示公開しています。

 展示館は2棟にまたがり、設計は早稲田大学理工学部建築学科を出て設計事務所を設立して間がないころの石山 修武(いしやま おさむ、1944 - )。

 設計監理がダムダン空間工作所、建築工事は竹中工務店、それに左官工事は日本左官業組合連合会が名工を全国から総動員して全面協力、現代左官技術の粋を集めて完成されたそうです。

 前庭にあるハスの花の噴水は淡路の瓦職人、山田脩二氏の作品。またアクセスの両側は土佐漆喰という極厚で強度が高い特殊な施工法だとか。斬新でユニークな建物自体が吉田五十八賞を受賞しています。鉄骨鉄筋コンクリート造り、一部2階建て。

 とはいえ、見どころは建築物よりも入江長八の作品群であるのは間違いありません。撮影自由という、おおらかな美術館を満喫しました。

伊豆の長八美術館
1984(昭和59)年
吉田五十八賞
設計 : 石山修武+ダムダン空間工作所(設計監理)
施工 : 竹中工務店
左官工事 : 日本左官業組合連合会
賀茂郡松崎町松崎23
撮影 : 2014.4.21






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 ハスの花の噴水は淡路の瓦職人、山田脩二氏の作品。
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 両側は土佐漆喰。
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 鏝(こて)が並んでいます。長八が使ったものではないようですが、こんなに色々な形状があるのです。
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 「富嶽」明治10年、63歳のときの作品。
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 「相生の松」明治9年、62歳。松崎には、この年に集中するように多くの作品を残しました。
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 「聖徳太子」明治9年、62歳。
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 「双象と童子」明治9年、62歳。
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 「寒梅の塗り掛け軸絵図」。明治9年、62歳。わかりにくいとは思いますが、なんと、掛け軸自体も鏝絵なのです。
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 「百福神」明治17年、70歳。
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 「貴人寝所の図」明治8年、61歳。旧岩科村役場の内壁でした。ひたたれ、えぼし姿の貴人が火鉢を前に、枕を引き寄せて人待ち顔の様子。そばに童子が1人。冬の夜長をもてあましている風情が描かれています。
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 有名な「春暁の図」明治8年、61歳の作といわれ、これも旧岩科村役場建物の内壁に描かれたもの。
 「日昇り眠り足って尚起きるにもの憂し。遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き、香炉峰の雪はすだれをかかげて看る」の漢詩をモチーフとした作品。らんかんと床の線が江戸時代特有の逆遠近法で表現されている。
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 「晒木綿」。
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 「龍の図」。明治9年、62歳。長八記念館にも雲龍の図があるように、代表的な図案ですね。
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 はっきりとレリーフとわかる作品はそれほど多くなく、大半は普通の絵具と筆で描いた絵と区別がつきません。しかしルーペを貸してくれるので、それで細部を見ると、わずかですが、確かに浮き上がっていました。すごい技術です。
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 「近江のお兼」明治9年、62歳。
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 二つの建物を2階部分でつなぐ通路には・・・
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 「花を持つ天女」という天井画がありますが、これは長八ではなく、この美術館を建てるときに参加した日本左官業組合連合会のどなたかの作品と思います。
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 ここから別棟、というか、正面に見えた建物です。
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 「青不動明王」明治21年、74歳の作。「赤不動・黄不動と共に〝日本三大不動〟とされている青不動明王を、掛け軸に描く。これは三島・龍沢寺で参禅した長八が、天祐居士と号することになった折、その記念にと精魂を傾けて描いたもの。左右に童子を従えた不動明王の姿は勇ましく、迫力がある。」
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 「白衣観音」板絵。制作年不明。
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 「ホーロクの静御前」。明治13年、66歳。焙烙(素焼きの土鍋)に、源義経の側室となった静御前を描いたものです。
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 「おかめ焙烙絵」。明治20年、73歳。
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 「母子狐」。これはレプリカだったと記憶しています。本物は東京、足立区千住の橋戸稲荷神社にあるはずです。
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 これが長八さん。
by gipsypapa | 2014-08-23 09:16 | 建築 | Trackback | Comments(2)
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Commented by j-garden-hirasato at 2014-08-26 06:17
この美術館、
存在は知っていましたが、
入ったことはありませんでした。
これは、すごい!
こんなに細かなところも鏝で描かれているんですか。
実際に見てみたいですね。
館内は写真もOKなんですか。
それも嬉しい!
Commented by gipsypapa at 2014-08-29 08:31
j-garden-hirasato さん、
いいでしょう。
来てみて良かったです。
この種の美術館で
写真撮影が自由にできるのは
大変貴重ですよね。
こういう素晴らしい美術館を
設立した町や関係者に感謝したいです。
なお、長八さんは
まだ終わりではありません。
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