神田藪蕎麦

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 写真を整理していて出てきました。大正時代から営業していた蕎麦の名店です。今年、2013年2月19日に火事で焼失した築90年のかんだやぶそば。現在再建中のはずです。木造平屋建て。

 昨夜の ニュースで見ました。来週月曜日、10月20日に営業再開だそうです。おめでとうございます。機会を見つけて、また行きます。(2014.10.17)

神田藪蕎麦 (焼失)
1923(大正12)年
設計 : 佐々木芳次郎
施工 : 松永専蔵
千代田区神田淡路町2-10
撮影 : 2006.5.2
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 食べたのは「せいろうそば」です。

 個人的には麵食いであります。麵ならなんでも好きなのですが、関東に行ったら蕎麦を食べることが多いです。

 大阪に住んでいて感じるのは、関西はうどんが一般的でおいしい。もちろん蕎麦もありますが、相対的に蕎麦は関東がおいしい。うどんは逆といえます。関東は駅の立ち食いそばでも、まず大阪よりおいしいのが多いです。

 そいうことで、建物から外れて蕎麦を。
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浅草の並木藪蕎麦
台東区雷門2−11−9
撮影 : 2005.5.1

東京の神田「やぶ」、並木藪蕎麦、池之端藪蕎麦の3店を称して「藪御三家」というのだそうです。池之端は行ったことがありません。

この店は漫画「美味しんぼ」にも取り上げられた名店で蕎麦つゆが出汁のきいた濃い味。そばの先をちょっとだけつけて食べるのが通です。
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 もりそば。裏返した笊(ざる)に載っています。量はかなり少ないです。私はもう1人前お代わりしました。神田のやぶそばは、特に驚くおいしさを感じませんでしたが、ここはさすがにおいしい。ただ難点はいつ行っても混んでいて、並ぶこともあるし、落ち着けない亊か。
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椿山荘の無茶庵
文京区関口2-10-8 ホテル椿山荘東京 庭園内
撮影 : 2006.5.1

 この店は何の前知識なく椿山荘を散策していて発見した蕎麦屋。緑に囲まれた静かな場所にあり、ここはゆったり落ち着けます。
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 せいろそば。期待以上においしいかったです。値段が少しだけ高めだったかもしれませんが、よい印象が残っています。

 ここで蕎麦のうんちくを少し。

「藪そば」と「更科そば」

 大別して藪と更科があります。ここで紹介したのはいずれも藪そばです。藪そばと更科そばの違いは、見た目では色の違いです。

 その違いの原因は製粉方法の違いです。蕎麦はもともと黒いソバガラをかぶっています。これを麵に挽き込めば、藪そばに使う黒いそば粉ができ、このソバガラを取り除いて製粉すれば、更科そばに使う白いそば粉ができます。つまり更科の方がそばの実の中心部を使っていて、日本酒でいえば吟醸酒のようなもので、高級と言え、実際に上品でさわやかな食感です。しかし藪蕎麦の田舎風の味が蕎麦らしくて好きという人も多いでしょう。

 私は更科派ですが、ここで紹介した藪蕎麦はいずれもおいしかったです。

「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」

 関西では「もりそば」や「せいろ」というのは聞いたことがありません。冷たいそばは「ざるそば」一辺倒と思います。「もりそば」は並木藪蕎麦で初めて店のお品書きで見ました。

 調べてみましたが違いがはっきりしません。というかあいまいで店によって呼び方があって、そばの種類や器で明確に区別されているわけでもないようです。

 「もりそば」はつゆをかけて食べる「かけそば」と区別したもので、つゆにつけて食べるそばの総称だったとか。語源は古いようです。

 つゆと麵を別々に出す場合の総称としては広い意味で使えますが、現代では逆に狭い使われ方をしているようです。

 「ざるそば」は言葉通りに、ざるに盛られたそばです。江戸の深川にあった「伊勢屋」が発祥で、水の切れがよく、そばの食べ方に最適と評判となり広まりました。時代とともに「ざるそば」には「ざるつゆ」と呼ばれる甘めの特別なつゆが考案され、きざみ海苔がかけられるようになりました。

 同じざるに盛ってあっても、麵の上に海苔がのっているのが、「ざるそば」、のっていないのが「もりそば」というのが最近の趨勢のようです。並木藪蕎麦はざるにのっていますが「もりそば」となるのは、海苔がかかっていないからでしょう。

 ざるではなく、せいろに盛られているのが「せいろそば」。せいろは蒸し器のことで蒸篭と書きます。神田藪蕎麦では「せいろうそば」と言っていたはずです。昔は蕎麦を茹でないで蒸し器で蒸して、その蒸し器のまま出して食べたので、せいろと呼ばれました。無茶庵の「せいろそば」は蒸してあるような気もしますが、神田藪蕎麦の方は、茹でた麺ではないかと思いました。
by gipsypapa | 2013-07-24 14:28 | 建築
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