先の長崎居留地二十五番館と同じ頃の外人住居であるが、雰囲気にはかなり違ったものがある。平家建でゆったりとした長崎二十五番館が明治初期の植民地住宅的な雰囲気を遺すのに対し、この神戸の建物はより本格的な西洋館になっている。これは、当時神戸が横浜と並んで貿易港として発展をみせており、建物にも洗練されたものが求められたためと考えられる。 この住宅では、敷地が狭いという悪条件の中で建物をより良く見せるため、工夫がこらされている。ベランダの柱を整然とは建てず、場所によって二本、三本と並べ、その間隔もまちまちにすることにより、建物に変化を持たせ実際以上に大きく見せている。又、ベランダから室内へ数多くの出入り口を設けているのは、余り広くない室内をベランダと一体で使うための配慮であろう。 主屋は上下階とも同じ間取りになっている。玄関、階段、中廊下を一まとめにし、左右に一部屋づつを配して、ベランダをL字に添わせている。付属屋一階には使用人が居たが、他のどの部屋とも結ばれておらず、主人家族のプライバシーの枠外とされていた。 博物館明治村 神戸山手西洋人住居 1887(明治20)年代 登録有形文化財 設計・施工 : 不明 旧所在地 : 神戸市生田区山本通 犬山市内山3-32博物館明治村内 撮影 : 2011.9.22 & 2012.3.10
by gipsypapa
| 2012-10-15 13:01
| 建築
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