門から待合へ、そして露地、蹲踞へとめぐるうち、小さな庭に人は大自然を感じ、これから訪れる語らいの時に胸を開く。そして二間四方に満たない小さな空間で、茶を仲立ちに悠久の時を過ごすのである。 利休の目指した茶室では、華美や豪華は極力避けられ、素朴な構成が追求された。又、庭の自然の只中にありながら四方の壁をきっちり囲み、窓には単なる明かり採りとしての意味しか持たせず、狭い空間に大自然を創造しようとした。 「亦楽庵」では京都の医家、漢学者であった、福井恒斎が、明治10年(1877)頃自宅の庭に建てたものと伝えられる。 利休以後、茶室は様々な形が創出されるが、その多くは、より小さな空間へと向かい、閉じられた形が継承されてきた。しかし、この「亦楽庵」では開け放つ試みがなされており、利休四畳半(本勝手)の茶室の一方に引き違い障子戸を建て、瓦を敷いた土間を介して庭との結び付きを求めている。 博物館明治村 茶室「亦楽庵」 1877(明治10)年ころ 登録有形文化財 設計・施工 : 不明 旧所在地 : 京都市北区小松原北町 犬山市内山3-28博物館明治村内 撮影 : 2011.9.22
by gipsypapa
| 2012-10-09 15:52
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