博物館明治村 鉄道局新橋工場

c0112559_1342289.jpg
 開国前、ロシア使節プチャーチン、アメリカ使節ペリーがそれぞれ蒸気機関車の模型を持参した。それに刺激された佐賀藩では安政2年(1855)、日本最初の模型機関車を製作した。維新の後、新政府は政治安定のためには東西両京を結ぶ鉄道が必要と決意し、調査に着手した。そして明治5年(1872)新橋・横浜間に初めての蒸気機関車が走り、ついで同7年には大阪・神戸間も開通、東西の基点ができた。当時の役所は鉄道寮と称し東京に置かれていたが、明治7年本拠を大阪に移し、同10年鉄道局と改称、さらに同14年には本局が神戸に移された。これより先明治8年には神戸工場で国産第一号の客車が製造されているが、これはイギリスから輸入した走行部分に国産の木材の車体を載せて造られたものであった。なお、蒸気機関車の国産第一号の製造はこれより大きく遅れ、明治27年(1894)にやはり神戸工場で完成している。

 客車・機関車の国産化が進められるのと同様、鉄道施設の国産化も行われた。明治22年(1889)に建てられたこの鉄道局新橋工場は、日本で製作された鋳鉄柱、小屋組鉄トラス、鉄製下見板、サッシ等を組み立てたもので、屋根は銅板で葺かれている。明治初年にイギリスから資材一切を輸入して造られた鉄道寮新橋工場(明治村4丁目に移築保存)に倣って、フィート・インチを設計寸法として造られているが、国産鉄造建築物の初期の実例として、当時の我が国の技術水準を知る上でも貴重なものである。

 この鉄道局新橋工場の小屋組は、鉄製キングポストトラスで、形式・部材形状ともに先の鉄道寮新橋工場に倣ったものであるが、現代の小屋組よりもシンプルで軽やかである。
 明かり取りになっている越屋根は、後に付け加えられたものであるが、ここに使われている鉄製窓サッシには「I.G.R.KOBE1889」との陽刻銘があって、鉄柱と同年代の国産鉄製サッシとして貴重である。

 明治村に保存されている二つの鉄道工場には、新旧四つの年代の鋳鉄柱が使われている。明治初年鉄道寮新橋工場を造るためイギリスから輸入された柱と、それを模して鉄道局で作られた明治15年(1882)、同22年、同35年製の柱である。このうち22年製のものがこの鉄道局新橋工場に、他のものが鉄道寮新橋工場にそれぞれ遺されている。


博物館明治村 鉄道局新橋工場
1889(明治22)年
登録有形文化財
設計・施工 : 不明
旧所在地 : 東京都品川区大井町
犬山市内山1-12博物館明治村内
撮影 : 2011.9.22 & 2012.3.10
c0112559_136367.jpg
c0112559_1361246.jpg
c0112559_136510.jpg
c0112559_1362452.jpg
c0112559_1363313.jpg
c0112559_13642100.jpg
c0112559_1365085.jpg
昭憲皇太后御料車(5号御料車) 《鉄道記念物》 製造年代 明治35年(1902)

 御料車とは天皇・皇后・皇太后・皇太子のための特別な車輌のことで、5号御料車は最初の皇后用御料車として製作された車輌である。全長16m余、総重量約22tの木製2軸ボギー車で、車内には帝室技芸員の橋本雅邦・川端玉章が描いた天井画、昭憲皇太后のご実家一条家の家紋の藤をあしらった布が椅子や腰張りに使用されているなど、華麗な内装がなされている。
c0112559_1375879.jpg
c0112559_1382026.jpg
c0112559_1381651.jpg
c0112559_1383886.jpg
c0112559_1384412.jpg
 明治天皇御料車(6号御料車) 《鉄道記念物》 製造年代 明治43年(1910)

 この御料車は明治時代に製造された6両の御料車のうち一番最後のものである。車輌の全長は20m余、総重量約33.5tの木製3軸ボギー車である。この車輌は歴代の御料車の中でもっとも豪華な車輌といわれ、車内天井に張られた蜀江錦、御座所内の金糸の刺繍や七宝装飾、また螺鈿装飾、木画といわれる木象嵌など日本の伝統的な工芸技術の粋を集めたものといえる。
c0112559_1394075.jpg
c0112559_1395218.jpg
c0112559_1310045.jpg
c0112559_1310736.jpg
c0112559_13101841.jpg
c0112559_13102757.jpg
c0112559_1310371.jpg
c0112559_13104697.jpg
 ここの見どころは建物よりも御料車です。中に入って見たいものです。
by gipsypapa | 2012-09-19 13:13 | 建築 | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://gipsypapa.exblog.jp/tb/18470366
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by j-garden-hirasato at 2012-09-22 11:13
これもレアな建物に、車両です。
鉄道マニアではありませんが、
じっくり見てみたいです。
御料車は状態がよいですね。
どこかの車両基地に、
大切に仕舞われていたんでしょう。
Commented by gipsypapa at 2012-09-23 10:46
j-garden-hirasato さん
私も鉄道マニアではありませんが、
この二つの車両は見る価値があると思いました。
そうですねぇ。
普段はどこに保管されていたのでしょうね。
<< 博物館明治村 三重県庁舎 博物館明治村 二重橋飾電燈 >>