ルポンドシエルビル(旧大林組本社ビル)

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 大正末期に大林組の本社社屋として建てられた大型の近代建築。大阪が発祥地の大手ゼネコン大林組の本店ビルでした。さすがに建設業、設計は社内コンペで決定されたそうです。小田島兵吉が立案した平面計画に基づき、社内で設計競技が行われ、設計部員の平松英彦の作品が選ばれました。

平松英彦は京都帝国大学工学部建築学科の一期生。外観は師である武田五一が多用したスパニッシュ・ミッション風の意匠を採用しています。

 全面に茶色のスクラッチタイルを貼り、腰壁に竜山石を使用した、贅沢で重厚な外観。上方部の両端にはテラコッタの円形レリーフ。中央には各階の窓を囲む三連アーチと各階に貼られたテラコッタの装飾と最上部に並ぶ3つのベランダがひときわ目を引きます。中央の入口部分も見どころで、白いアーチ部分には上部に紋章、左右に一対の鷲を配置した華麗な建物です。随所に使われている彫刻は、同じ大林組設計部の大塚尚武の作品。ルポンドシエルビル(旧大林組本社ビル)_c0112559_13173893.jpg

 内部も多様なモチーフが用いられていて、エレベーター上部には、花と人面の鳥を象ったアールデコ風の装飾があります。

 大林組本店がこの建物の真向かいにある超高層ビルに移ってからは、料理学校辻学園の校舎として使われていたため、多くの書籍やネット上で辻学園として紹介されていた建物。2007(平成19)年に耐震補強が施され、今は高級フランス料理店ルポンドシエルがテナントとして入居しているほか、右側入口を入った3階には大林組の歴史資料館もあります。鉄筋コンクリート造り、地上6階建て、地下1階。

ルポンドシエルビル
旧大林組本社ビル
1926(大正15)年
設計 : 平松英彦・小田島平吉(大林組)
施工 : 大林組
大阪市中央区北浜東6-9
撮影 : 2010.6.17
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 フランス料理店はさすがに敷居が高く、窓越しに覗くと黒服の若い女性が立っているのが見えたので断念。その代り右側に大林組の歴史資料館が自由に入れることがわかり幸せな気分になりました。内部写真はその周辺で撮ったものです。
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by gipsypapa | 2011-01-13 13:21 | 建築
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