旧三菱合資会社唐津支店本館

c0112559_15174281.jpg
 唐津の海岸通り、工場や倉庫群が立ち並ぶ唐津湾の傍の一角に建つ明治後期の洋館。石炭の積出港として発展した唐津で、近くを流れる松浦川を下って運ばれてくる唐津炭田の石炭を唐津港から積み出すための石炭貿易基地として建てられた三菱合資会社の本館でした。

 1934年(昭和9年)に事務所が撤退した後、唐津海員学校校舎、唐津海上保安部庁舎などの政府機関の庁舎に転用されたのち、三菱商事から唐津市に寄贈されました。1979(昭和54)年からしばらくは唐津市の歴史民俗資料館として使用されていましたが、現在は休館中です。

 建物は左右対称で、下見板貼りの外壁。入母屋造りの大屋根にとんがり帽子のような塔屋根があり、玄関部は切妻という面白い屋根形状になっています。建物の背面、海側の部分には1階、2階にバルコニーがあるのが特徴の大規模洋館です。

 設計は唐津出身の曽禰達蔵が建築顧問だったという情報が多いようですが、INAX Report では、曽禰達蔵の作品リストにはなく、保岡勝也の設計になっています。保岡は三菱社で曽禰達蔵とともに、丸の内の赤煉瓦オフィス街の建設に携わり、曽禰の退社後は技師長を務めた建築家(後に独立して銀座に保岡建築事務所を設立)ですから、この情報は正しいと思われます。佐賀県重要文化財の木造2階建て。

旧三菱合資会社唐津支店本館
1908(明治41)年
佐賀県重要文化財
設計 : 保岡勝也(三菱丸の内建築事務所)+曽禰達蔵(顧問)
施工 : 神戸三菱建築事務所
唐津市海岸通7181  
撮影 : 2009.8.13
c0112559_1519932.jpg
c0112559_15191797.jpg
c0112559_1519261.jpg
c0112559_1519333.jpg
c0112559_15194121.jpg
c0112559_15195044.jpg
c0112559_15195872.jpg
c0112559_1520663.jpg
c0112559_15201369.jpg
c0112559_15202248.jpg
c0112559_1520364.jpg
c0112559_1520452.jpg
c0112559_15205697.jpg
 敷地の端には煉瓦造りの倉庫もありました。
c0112559_15213268.jpg
 市街地から離れ、交通の不便な位置にあるため、地元でも知らない人もいて、歴史民俗資料館としての役目を果たせなかったのでしょう。ただこれだけの貴重な建物ですから、大切に保存してもらいたい物件です。
by gipsypapa | 2010-10-27 15:23 | 建築 | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : http://gipsypapa.exblog.jp/tb/15358908
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by j-garden-hirasato at 2010-10-28 07:01
休館中とはもったいない。
でも、
単体では、訪れる人も少ないかもしれません。
周辺に何かあれば、
また、違った状況になるのでしょうけど…。
もっと、思い切った利活用が必要ですね。
Commented by gipsypapa at 2010-10-28 11:30
j-garden-hirasato さん、
やはり立地が問題です。
周りに見るべきものがないし、
バス停は見かけましたが、
バスは見たことがありません。
不便なのでしょう。
ここは車で行くしかないようです。
これが神戸の異人館の近くにあったら
訪問客は多いでしょうね。
Commented by mini-mini32 at 2010-10-31 23:30
立派な建物ですね~
中に入ってみたいです・・・
全然違うのですが、この建物を見ていて、
東京で見た、三菱財閥の創設者、
岩崎弥太郎の洋館の岩崎邸を思い出しました・・・
Commented by gipsypapa at 2010-11-01 09:47
mini-mini32 さん
これだけの洋館は中を見て完結するわけで、
まったく残念です。
場所さえよければ名所になるのに。
岩崎邸は有料とはいえ、内部も見れるのでありがたいです。
<< 唐津鐵工所唐津工場 中尾餅店 >>