函館市文学館

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 もう一つ銀行だった建物。第一銀行の函館支店として建てられたものです。ジャックス(北日本信販)社屋として使われたのち、函館市へ寄付され、平成5年から函館市文学館になりました。石川啄木をはじめとして、地元ゆかりの文学者の直筆原稿などが収蔵・展示されています。

 銀行らしく中央に玄関があり左右対称なフォルムですが、重厚さの中に、花崗岩と茶色のタイルの色が調和したモダンで美しい建物です。

 基本構造は鉄筋コンクリートと煉瓦の両方が使われているっそうで、鉄筋コンクリート構造が一般的に取り入れられていくまでの中間的な構造を採っています。函館の数ある建築物のなかでも優れた意匠の一つでしょう。函館市景観形成指定建造物の鉄筋コンクリート・煉瓦造り2階建て。

 設計は大正時代から昭和時代にかけて活躍し、多くの銀行建築を設計したことで知られる西村 好時(にしむら よしとき)。このブログでも山二商店成瀬証券旧第一銀行丸太町支店愛知県庁本庁舎を紹介しています。共同設計者の八木憲一は清水組の技師として活躍した建築家。

函館市文学館
旧第一銀行函館支店
1921(大正10)年
函館市景観形成指定建造物
設計 : 西村好時+八木憲一
施工 : 清水組
函館市末広町22-5
撮影 : 2009.9.23 & 24
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 すでにいくつか旧銀行の建物を紹介しました。かつては大正から昭和初期にかけ、海運業で栄えた函館ですが、徐々に銀行が撤退して行った時代の趨勢を、これらの建物が語っているようです。
by gipsypapa | 2010-08-06 13:45 | 建築
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