函館市地域交流まちづくりセンター

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 函館市の中心地、十字街近く、南部坂の上り口に建つ大型のビル。ドームと塔屋があり、ランドマーク的な装飾の多い意匠となっていますが、理由はかつての百貨店(当初は呉服店)だったから。

 市電通りから見る北側は3階建て。1階部分にはデパートらしいショウウィンドウが並んでいます。アール状の角に玄関があり、その上に縦長窓、屋上には円形ドームのある欧風の様式。一方、塔屋のある南側は角ばったモダニズム様式の5階建てになっています。

 このようなアンバランスな様式が混在しているのは、昭和初期に百貨店の業務拡大につれて、当初3階建てだったものを、5階建てに増築(昭和5年、昭和9年)したためです。その際、北側のドーム部分はなくなり、代わりに南側の塔屋ができたそうです。近年、耐震性の問題から、一部を竣工当初の3階建てに戻すという改修工事がおこなわれ、ドームが復元されたため、このように不思議な組み合わせになったとか。昭和45年からは市の分庁舎として利用されていましたが、現在は「地域交流まちづくりセンター」として再利用されています。函館市景観形成指定建造物の鉄筋コンクリート造り、3&5階建て。

 設計は東京高等工業学校建築科を卒業したのち、熊本県立師範学校、岩手県立工業学校教諭、陸軍省委託を経て佐藤組建築事務所を営んだ佐藤吉三郎(1874~1934)。土浦日本聖公会聖バルナバ教会も彼の設計。

 設計・施工は北海道コンクリート建築の先駆者といわれる木田保造(きだ やすぞう、1885~1940)。他に不動銀行函館支店、拓銀函館支店、函館商工会議所本館、天主公教会、渡辺合名会社、大谷女学校、百十三銀行、函館貯蓄銀行、称名寺、日魯漁業函館事務所、函館製綱船具など、大正初期から昭和にかけての函館市内の主な建築工事をほとんど手がけています。

函館市地域交流まちづくりセンター
旧丸井今井百貨店函館支店(丸井今井呉服店函館支店)
1923(大正12)年 / 1930(昭和5)年、1934(昭和9)年増築
函館市景観形成指定建造物
設計 : 佐藤吉三郎+木田保造
施工 : 木田保造(木田組)
函館市末広町4-19
撮影 : 2009.9.24
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 全国的に破たんしたデパートの解体が多く見られるなか、函館市のような自治体の努力による保存と有効利用は貴重です。
by gipsypapa | 2010-06-22 10:49 | 建築 | Trackback | Comments(0)
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